講演要旨

• 量子コンピュータのもたらす21世紀の情報処理　　コンピュータが開発された20世紀半ばから50年たって21世紀になり、コンピュータは社会を支える基盤になり、その分次世代の夢が見えにくくなった面もあります。この講演では、そのような夢について、新しいコンピュータを考えて世界を変える話しをします。具体的には、量子力学という20世紀に構築された物理原理に従って動作する新しいコンピュータをテーマに、それによって壊される世界、開かれる世界について述べます。この講演を通して、情報オリンピックやコンピュータに関心を持つ若者が増えることを期待しています。

• 整数論の最近の話題から 〜 素数性判定問題を中心に　　 自分自身と1以外に約数を持たない2以上の自然数を素数といいます。素数が無限個存在することは昔から知られていますが、素数の具体的な性質については、まだまだ分からないことばかりであると言っても過言ではありません。特に、素数性判定問題、すなわち「与えられた自然数が素数かどうかを判定する問題」は、暗号理論とも関係し、理論的にも応用上も重要な問題です。この問題は、2002年の夏に「多項式時間アルゴリズム」が存在することが示され、多くの数学者・コンピュータ科学者に衝撃を与えました。このセミナーでは，素数性判定問題について、主に数学的な側面を中心にお話しします。 この講演を通して、アルゴリズムのおもしろさに目覚め、多くの中学生・高校生が情報オリンピックに興味を持ち挑戦してくれることを期待しています。